huzai’s blog

「ぼっちの生存戦略」とか「オタクの深化」とかそういうことについて考えています。

時間商人―期間限定の不老不死

 

期待していたのと違ったので投げました


◆異なる時間を生きるということ
一番期待していたのが、「異なる時間を生きる」ということであった。
生きている時間が違うことによって生じる何かが見たかったのである。

【異なる時間】

周りの人間が同じ時間を共有している中で、自分だけが違う時間を生きている。
それってどういう感覚なのだろうか、ということを知りたかった。

例えるならば、エマノンだろう。
地球が生まれてからの出来事を全て記憶している少女。
彼女もまた、人間という時間から逸脱した存在である。

エマノンは言っていた。
自分が持っている歴史と比べれば、百年も、一年も、数時間も同じようなモノ、一瞬に過ぎない。
永遠にも等しい時間を記憶し続ける彼女からすれば一瞬の出来事に過ぎない。

例えるならば、阿求だろうか。
彼女はある目的のために、記憶を引き継いで記録し続けている、という設定があったと思う。
彼女もまた、同じ人間として生活していながら違う時間を生きている。

【不老不死】っていうのは、生きる時間をズラしてしまう。

種族が変われば、生きる時間は異なって来るが、それと同じようなモノだ。
不老不死になった人間は、人間でありながら人間でいられなくなる。

それだから私は、この小説を手に取ったのだ。


◆期間限定の不老不死
裏書を私はキチンと読んでいなかったようである。
何しろ、不老不死が10年間だけなんて聞いていなかったからだ。
もし、私がこの世界の住人であったならば、11年目に文句を言いに行ったに違いない。

【10年間の不老不死の使い道】

ドラゴンボールで頻繁に願われる【不老不死】は、若さだったり、ピーク時の能力維持とか、フリーザを倒すためだったりとかが目的であった。

この作品だと、延命とか、能力維持、だったり怪我防止だったりする。
良くも悪くも一般人が不老不死が求めるわけだ。

そのため、不老不死がテーマの中心になる感じではなかった。
むしろ、不老不死でなくてもよかったのだと思う。
物語に柔軟性を与えるために不老不死にしたのではないかもわからん。

【膨大な対価によって浮き彫りになるモノ】

自分の寿命を支払ってでも獲得すべきものなのか、膨大な金額を支払ってでも手に入れるべきものなのか、どうして俺はそれが必要なのか・・・

そんな感じ。
だから、私が求めていたモノとは違った。
読み物としては悪い事はないと思います。

それでは、また。

 

時間商人 不老不死、売ります (ガガガ文庫 み 1-4)

時間商人 不老不死、売ります (ガガガ文庫 み 1-4)