huzai’s blog

「ぼっちの生存戦略」とか「オタクの深化」とかそういうことについて考えています。

異世界スマホはネット小説の集大成

「いや、若いのはいいと思う。若者は馬鹿だが、だれもそれを馬鹿にはできない。だれもがかつて一度は馬鹿だったわけだからな」
ライトジーンの遺産


話題になっていたので11話だけ見てみましたが、
モバゲーからなろう、にじふぁん、ハーメルンアルカディア・・・・・・
それらで発生していた主人公属性と設定が展開されていたため『本当に懐かしい』って感じでした。

きっと、この作品が数年前のなろうに投稿されていたとしたら
日刊ランキング上位に入っていたのではないだろうかと思えるくらいにかつて流行った属性が盛りだくさん。
古き良きネット小説の集大成みたいな感じ。
(ここでいう「ネット小説」とはエタった※1作品達のことです。恋空の文脈でもお兄様の文脈でもありません)




・・・・・・そんなアレやコレやを思い出しながら書いていく。

主人公の服装

中学生のオタクが憧れる要素の一つにはロングコートが必ず入る。
ハレハレ愉快が流行っていた時期の冬になるとキョンみたいなコート※2を付けた学生が大量に発生していた。
そうして彼らは決まってこういう「・・・・・・やれやれ」と。


だが、今回の主人公の服装はそういうモノではなくて、
どちらかというとキリトさんの方向に近いような気がしている。
ファンタジー系特有のアレである。

『アレ』とはマントである。
魔法を使った際の衝撃破でたなびくマント。
目にも止まらぬ速度で動いた際にたなびくマント。
ファンタジー世界の総てを司るマント・・・・・・

そのマントを現代化するとロングコートになるわけである。
現代人らしさを残したままファンタジー世界でもカッコいい服装となるのがロングコート。
魔竜院光牙さんだってそういう服装をしている。

ロングコートは現代人に許されたラストファンタズム―最後の幻想―なのである。

それを身につけているあたりが、ネット小説っぽい主人公の所以である。


また、胸元が"◇"のカタチにくりぬかれているところもGOOD!
彼の英雄『エミヤ』のインナーも相当イカしていますが、
それに並ぶとも劣らない服装がベリーGOODです!
以下参考画像
2way 抱き枕カバー Fate/stay night FateGo Fate/grand order FGO アーチャー ランサー クーフーリン エミヤ

こういうド直球の「厨二病の服装※3」っていうのは最近本当に少なくなってきていて、
それこそ「このすば」とか「RE:ゼロ」とかであったようないわゆる「普通の服装」が多くなっていた。
そうした中でこういう恰好で現れるのは凄い強いです。

主人公の名前

ネット小説の通例ですが、字面が強いとキャラクターも強くなるものです。
なので、「燈夜」か「刀夜」とかだろうと思っていましたが、
「冬」に「夜」で"とうや"なんですね。

思ったより普通じゃないか。
ここは特筆することはないです。

主人公の特性とその設定

ネット小説の通例その②です。
過去のなろうの系譜で多かったのが「属性のあるファンタジー」でした。

少し前にアニメ化したお兄様みたいに個々が魔法を設定するようなものではなく、
ファーストキスから物語が始まる世界の「火・水・風・土」等の系統属性が存在する設定が多い。
そして、そこに加えられることが多かったのが「闇」と「光」の属性だったり、
失われた古代の属性とか「無」とか「次元」とかそういうものだったりした。※4

そして、属性を調べる方法の多くは『水晶に手を当てること』である。
ネット小説の主人公たちは『水晶が虹色に光る』とか『水晶が割れる』とか、
そういう普通とは違う性質・・・・・・つまり、水見式でいう特質系みたいな感じになるわけ。

この主人公は「全属性が使える」ようなので、
多分きっとそういう感じの何かがあったんじゃないでしょうか。

鈍感系主人公

「顔が赤いけど……熱でもあるのか?」
「(ヒロインの照れ隠しをみて)また、怒らせちゃった!?」などなど。

過去のネット小説では当たり前に流行していた鈍感系主人公であるが、
「え?なんだって?」で代表される小鷹兄貴のカウンターパンチによって終焉を迎えた・・・・・・はずであった。
けれど、この作品は普通にソレをやってのけている。

鈍感系主人公の王道を往くような様には尊敬の念を抱かずにはいられない。
恐らく主人公はストレートに「好き」と伝えられても、
「(家族として、友達として)俺も好きだよ」って返すのだろう。

だからこそ、今回の「ディープなキッス」、つまり言葉ではない行動※5を受けた際に、
どのような言葉を返すのかが一番効果的なのである。

ハーレム設定について

昨今の日本では「シェアエコノミー」なんて言葉が流行っています。
車をシェアしたり、家をシェアしたりするのが日本で行われるシェアです。
(薄い本でよくシェアされるのは・・・その先は言う必要ないですよね。
自分で考えてみてください。※6)

ネット小説ではよく「主人公がシェア」されます。
この「シェア」の発想は大きく二つの方向から発生します。

一つは、
「××様は一人の女性で独占できるようなお方ではない」
という「一人では満足させられないから」というもの。

もう一つは
「××様は鈍感ですから"共同戦線"といきましょう」
個別で攻略していても埒が明かないため、複数人で攻めようというもの。
この後に続く言葉は「誰が選ばれても恨みっこなし」というやつだ。

どちらにも共通して発生するイベントとしては、
誰かが抜け駆けをして「私もまだシテいただいていないのに~」と連鎖爆発するパターンです。
こういうイベントが発生することによって、普段素直になれないヒロインが自爆する形で
自身の感情をストレートに曝け出せるようになるわけです。

主人公が『ナオンはすべて俺のモノ』と鬼畜の所業を繰り広げるハーレムではなく、
ヒロインが『主人公は私達のモノ』と他者から求められるハーレムになるのである。
実に王道である。

ヒロインについて

「きょうび、おっどあいなんてはやんねーよ!」
とか言われそうな感じがするほどに、オッドアイ属性が懐かしい。※7

ラウラとかがオッドアイだったりした気がするが、
最近では本当にオッドアイが少なくなったように思える。

それはさておき、ヒロインが属性化されている感じがすごくイイ感じである。
オッドアイ」とか「ツンデレ」とか「貴族」とか「研究者」とかそういうの。

『このヒロインとは?』と聞かれたときに一言で言い表せるヒロインは最近少ない。
最近は、より設定を複雑化する傾向にあるため一つのラベルで済ませるヒロインはかなり減った。

なろう小説特有の・・・・・・

今回目立った台詞はコレである。

「女になれた妙に優し過ぎるフェミニスト気取り」

これは今回の主人公が流行る前に流行った主人公属性である。
言ってしまうと、「このすばの御剣さん」である。

なろう小説特有の過去の流行の否定であるが、
今回の主人公も十分そのタイプであるような気がする。

終わりに

台詞回しを含めて既視感が漂うあたりホンモノである。
この作品をみれば「なろう作品10作品分」くらいの属性価値がある。

後は、「過去に虐待を受けた実家(≒貴族階級)へ復讐しに戻ったSランクの主人公」とか
「評価されない特化した能力(魔法世界の斬術や防御、支援魔法のみ)の主人公」とか
「魔法学院で普通でいようとする最強系無気力主人公」とかを読んだりすれば終わりである。

まったくもって終わる必要はないが。

追記
ググってみると、なろう小説だった。



※1エタった(る)とは、エターナルすることの略称。
エターナル=永遠=終わらない=完結しないということで、
作品が完結することなく放置されるということを指します。
  エターナルフォースブリザード(相手は死ぬ)とは別物のようです。
※2気になる方は「ロングコート キョン ハルヒ」で検索。
※3ここでいう厨二病の服装とは「魔竜院光牙」系のファンタジックなものですが、
  実際の厨二病は「髑髏」とかが出てくる「黒×銀」のイメージの服装です。
  腕にシルバーを巻く感じですね!
※4考え方はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールと同じようなものです。
※5「言葉ではない行動」に関して最高のエピソードは「彩峰」だと思っています。
  言葉は確かめられないから身体で確かめる・・・・・・みたいな。
  自分の身体をそういう手段みたいに言ってしまえることが彩峰らしくてすごく好きでした。
※6例のソレ
※7蒼星石可愛い。