この物語に情念はなく。 星明かりグラフィクス 1巻/感想
帯の文章に騙されてはいけません。
これは美大ではなく大学生の日常です。
概要
思春期特有の豊かな感受性が負の方向に爆発して、人が泥の固まりにしか見えなくなったデザイナーの星。
「美大って才能を磨く所じゃなくて本当に才能のある人間とコネをつくる所だ」というプロデューサー気質の明里。
美大という場所を中心にして描かれる、二人の女性が各々の都合で利用し合う関係を描いた物語。
感想
虎が出ると思っていたら猫だったみたいな状況がまさにこの本。
美大×女性×女性=感情、そういう何かを期待して本を手に取ったものの、
そこに描かれているのはただただ二人の大学生が利用し合う日常だけだった。
少なくともこの1巻では、
天才と凡才、コミュ障とリア充、デザイナーとプロデューサー、
そういった作品に込められた対立構造が活かされる場は殆んど存在しておらず、
その上彼ら彼女らの感情の一切が(というとオーバーだが)描かれない。
友達の友達の話みたいなもので、
「そういう出来事があったのだ」と認識することはあっても、
そのことについて深い興味が得られるようなことはない。