huzai’s blog

「ぼっちの生存戦略」とか「オタクの深化」とかそういうことについて考えています。

自分の外側に正しさを委ねているかぎりホンモノは手に入らない

 

間違わないために、外側にある正しさに基づいて行動する。
どこまでも間違っていないやり方は歪をきたして、自壊する。
正しかった、正しかったはずなのにこぼれ落ちていく。
サラサラと音をたてて。

 

比企谷八幡
こいつのおかげで随分と長い間悩まされ続けてきた。
時間が経てばたつほど彼が嫌いになり、彼が浅い人間に見えてくる。
彼がどういった人物であるかも忘れてしまって。

彼の在り方は凄く印象的だ。
自分の在り方を外側に委ねている。
自分の中からではなく、外にあるもので動く。

もちろん、彼も人間だ。
内側に秘めたる思いはあるし、それで動くときもある。

けれど、何か決断をする際には外側に決定権を委ねる。
自分がどうしたいから、とかではなく、こう在るのが正しいから
といった具合だ。

彼の場合は論理(ロジック)が決定のウェイトを占めている。
彼は言う「選択肢なんて無い」なぜなら彼は一人だから。
誰かに頼るという選択肢は存在せず、自身を使って解を導き出すしかない。

そして彼は理性の化物と呼ばれる。
普通の人間は、自分という選択肢を取る前に「逃げ」を選択する。
問題に向き合うよりも、誰かに頼るよりも簡単だから。
けれど、彼はそれをしない。理性(ロジック)のまま選択をする。
たとえ、それが自身を傷つけることになったとしても。

それをみて人は彼を憐れむ。悼む。
どうしてこんな選択肢しか取れなかったのかと。
どうして一人で戦うのかと。

けれどそれは彼の本懐ではない。
彼は知っているから。それは本心ではないということを。
ニュースで流れた悲惨な事件をみて「かわいそう」というのと同じだ。
そんなものは偽物だ。それこそが自己満足だ。
俺の行動をお前らの自己満足に利用するな。

けれど、それでは救いきれない物事ができてくる。
それもそうだろう。彼は英雄ではない。ただの高校生だ。
全てを救えるほど歪んではいないし、それに立ち向かえるほどの無謀さは持ち合わせていない。

誰かの問題を解決すると、自分の大切なものが壊れてしまう。
本当は壊してしまいたくない。あいつらもきっとそう思っている。
けれどそれはきっと幻想だ。甘い甘い独りよがりの妄想だ。
だから、彼は行動する。ロジックにしたがって。矛盾を抱えたまま。

それは小町が許さない。
ロジックを超えたところにある唯一の存在、小町がそれを妨げる。
小町によって、彼は大切なものを繋ぎ止めることに成功する。
ロジックの限界に気が付く。
ロジックでは満たされない世界へようこそ。

平塚静香は静かに語る。
雪のように彼の身体に染み込む。
毒のように彼の思考を侵す。

そして、問題の中に自分の問題を見出す。
それはロジックでは解くことのできない唯一の問い。
自身の感情。想い。願い。祈り

多分、この願いは間違っているのだろう。
理性が反発する。
こんなものは幻想に過ぎないと。
こんな独りよがりの祈りを求めるべきではないと。

けれど、もし彼女たちも同じように祈っているのだとしたら。
この間違った祈りもホンモノではないだろうか。

 

やはり、俺の青春ラブコメはまちがっている。