新入社員は天然のピエロ
踊っているのでないのなら
踊らされているのだろうさ
―狐と踊れ 神林長平
新入社員の皆様は仕事に慣れ始めたころでしょうか。
同期の友達ができたころでしょうか。
まぁ、そんなことはどうでもよいのですが。
「新しい」という価値
というわけで、「新入社員」と「コンテンツ」で書いてみました。
◆「新しい」という価値
「新しい」というだけで「価値」を与えてもらえることがある。
「新しい」を色々な言葉に置き換えてみると、それがわかるだろう。
例えば表題に挙げた「新入社員」がいい例だ。
まだ学生の場合は、「新入○○」で考えると良い。部員でも、ゼミ生でもなんでも。
彼らは総じて「何も価値を所有していない」のである。
にも関わらず、もてはやされるのは何故だろうか。
新入社員の内は、ミスをしても許される場合がある。
新入社員ならば、小さな変化を認めてもらえることがある。
新入社員ならば、つまらないことでも笑ってもらうことができる。
ただ、それは「新しい」という理由だからだ。
電話応対に戸惑う様を「笑いごと」で済ませられるのも、それが理由だ。
名刺交換に手間取っても「若いから」で済ませられるのも、それが理由だ。
たいしたことはない学習の成果を「素晴らしい」というのも、それが理由だ。
「新しさ」を免罪符に、彼らは多くの「失敗」を許される。(そうでない場合もある)
「新しさ」を理由に、彼らは多くのことを「承認」してもらえる。(そうでない……)
その在り方は、俗にいう「ピエロ」に近いのかなって思ったりします。
馬鹿なことをやって「認識」してもらえる。
◆ピエロでは居続けられない。
両手は使わないんじゃなかったけ?
…サービス期間は終了したのさ。
ただ、ある種の無敵状態に甘んじていると、唐突なその終わりに苦しめられる。
スターを取ったマリオのように。
だから、ピエロ(無敵状態)であるのを忘れてはならないのではないかと思う。
「若いから」で許されていたのが、「罵声」に変わる日はそう遠くないかもしれない。
だからといって、ピエロ状態でビクビク過ごす必要は無い。
マリオのように残機を稼いだり、パワーアップアイテムを取ったりしないと、先のステージで積むことになるから。
躍らせてもらえるうちに
踊っておかなければ
糸が無くなった時
動けなくなる
◆コンテンツは燃えやすいほど良い
「新しさ」の価値はコンテンツでも同様に評価されている。
コンテンツの燃え方が最近変わってきている。
急激に燃やされて、灰になっていくコンテンツが増えてきた。
以前のように「熱が付く」のではなく、「燃やす」ようにコンテンツが扱われる。
「感情」よりも先に「場」が作られ、「感情」に火がつく前に、コンテンツは消えてゆく。
全てのコンテンツが人間という「熱量」に晒されるなか
その暴力的な熱量に耐えられるのは、「古いコンテンツ」だけかもしれない。
◆終わりに
本当は、もてはやされては消えていく「子役」で書こうと思っていた。
あれだけ可愛い可愛いともてはやされていたのに、
別の「新しさ」に消えてゆく存在はそうないだろう。
コンテンツでも同様に、「新しさ」は評価される。
が、コンテンツもやはり「新しさ」だけでは「持続力」がない。
最近増えている「食事系」の漫画もそうだが、燃やされて終わってしまう気がしてならない。
コンテンツが育まれる、っていうのはどういう感じなのだろうな。