偽物は本物を遠ざけるか
『借り物の理想』『上っ面の関係』
そんなものに「本物」が宿るというのか。
生きるのに不器用な人間ほど、「偽物」を許容できない。
少なくとも、自分に対しては「偽物」を認める事が出来ない。
だからこそ、不器用だと言われるのだろうな。
そんな不器用な人間が今一度「偽物」と向き合う。
◆嘘から始まる関係性
今でもそういう物語は少なくない。
女装・男装に始まり、自分の立場・役割を偽装、勘違いなんてものまで幅広い。
最近のだと、「ニセコイ」が一番伝わりやすいのだろうか。
「偽物の恋」、「偽物から始まる恋」、「その恋は偽物」「偽物に隠れた本物の恋」みたいな。
そういえば、「ざわわん」も嘘から始まった物語だったな。
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少し前のものだと「遊戯王」とかだろうか。
自分の中に居る「もう一人僕」の存在を明かすという行為。
それは、隠していた「真実」を明かすということであり、「嘘」に近いものがある。
しかし、
そう言った物語は「嘘」を踏み台にして「本物」に到達する。
遊戯は「もう一人の僕」を隠したまま親友でいることは無い。
プロデューサーは「スパイ」という事実を隠して関わり続ける事はない。
彼女は「本物の恋」を隠したまま偽物であり続ける事はない。
物語の登場人物は「嘘」を踏み台にして「本物」に到達する。
隠していた「真実」や話したくない「嘘」と向きあい、本物を手に入れる。
つまり、「偽物」は「本物」に近づける、ということだ。
やったね、答えがでたよ!
◆誰も本物なんて求めていない
結局のところ、「本物」なんて誰も求めていないんだ。
「本物であること」なんて誰も求めていないんだ。
「偽物のプロデューサー」であっても
「偽物の恋人」であっても
「偽物の関係」であっても
「嘘」であってもその時は「本物」だったから。
「本物である」という事実が無くても「幸福」だったのは間違いないから。
◆だからこそ、俺は本物が欲しい
人は「真実」を通過して「本物」に至る。
その前段階に「嘘」や「偽物」が差し込まれるのがよくある物語だ。
では、
「偽物のまま本物に至る物語」は存在しないのだろうか。
「偽物を許容せず、本物に至る物語」は存在しないのだろうか。
◆終わりに
「本物」に目が眩んで「偽物」を見る事が出来なかった私。
「偽物」からも求める「本物」が生まれ出る事実と向きあったことで、
「本物である事実」を求める理由を喪失した。
今、この言葉が私の中で揺らいでいる。
「本物でなければ本物ではない」
これは「嘘」だったのだろうか。